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44話 森への突入と、エリゼの怯え

Author: みみっく
last update Huling Na-update: 2025-12-04 06:00:37

「そうかな? 魔物がよく現れるらしいよ」

 レイニーは、あくまで冒険者ごっこにこだわる。冒険者ごっこなら……魔物と戦えればいいと思うけど? もう目の前だしぃ……。山に行くのは明日でいいじゃん。

「うん。そんな感じがする……不気味だし、入ったらダメな気がするよ……」

 エリゼが怯えた表情で言ってきた。その声には、強い拒絶感が滲んでいる。

 せっかく苦労して辿り着いたのに〜勿体ないじゃん。レイニーは、少しばかり残念に思った。

「少し進んでみようよ。それで、ヤバそうだったら引き返そー♪」

 レイニーは、エリゼを説得しようと提案した。

「えぇ……うん。わかったっ」

 レイニーの押しに押されて、エリゼは仕方なさそうに返事をした。その声には、諦めと、それでも兄への信頼が混じっている。

♢森の奥へ

 普通の森とは違い、不気味で薄っすらと靄がかかっている。魔物の住む不気味な森は、昼間でも薄暗く、どこか現実離れした雰囲気を漂わせている。森の中に一歩足を踏み入れると、魔物のテリトリーに入った感覚を感じた。すでに、あちらこちらに小物の魔物が彷徨いているのが見える。

 湿った土の匂いと腐葉土が混ざり合った独特の香りが鼻をつく。木々は異様な形をしており、曲がりくねった幹やねじれた枝があたりを覆い、まるで生きているかのように感じられる。その光景は、レイニーの好奇心を刺激した。

 風が吹くたびに葉がざわめき、不気味な囁き声のように聞こえる。苔むした石や木の根元には、奇怪なキノコや見たこともない植物が生えており、その中には毒々しい色をしたものもある。地面には生き物の足跡が点々と残っており、その形がどれも一様ではなく、何か恐ろしいものが潜んでいることを示唆している。その雰囲気は、エリゼの恐怖を煽った。

 魔物の存在は確実だったので、結界を自分とエリゼに張り、歩みを進める。念のために害意を感じると、自動で反撃するように魔法を複数発動準備をさせておいた。頭上には複数の小さめの魔法陣が展開され、見るとワクワクとした感情が高まってくる。

 前方で唸り声が聞こえると、害意を感じた魔法が『バシュ!』と自動で放たれた。唸り声が消え去りドサッと倒れる音がした。

「わ、わぁ……なに? 何の音?? 魔物が唸ってる声が聞こえたっ!」

 エリゼは、怯えた表情と声で訴えてきた。魔法の音をサイレントモードにしてあるので、魔法の音は聞こえずに魔物が倒れる音だけが聞こえて驚いたみたいだ。レイニーは、エリゼの反応に、思わず苦笑いを浮かべた。

♢報告と国王の期待

「えっと……これ以上はキケンかもなぁ〜。エリゼがトラウマになっても可哀想だし。雰囲気がありすぎるよなぁ……。」

 レイニーは、森の奥から漂う不気味な空気に、内心でそう呟いた。

 エリゼの顔色も、先ほどからずっと青白いままだ。結界だけ残し、魔法攻撃は解除した。現れたら剣で倒してみたいし……と思ったが、数歩しか歩いていないのですぐに森から出れた。

 はぁ……残念。魔法で倒したから魔物の姿も見てないし、倒した実感がないじゃーん。レイニーは、肩を落としてため息をついた。

 そのまま王都に戻ると、案の定、父親に呼び出された。はい。当然ですね……。レイニーは、心の中で観念した。

「レイニーよ、また問題を起こしたそうだな」

 わっ。ド直球できたよ。問題は……起こして無くて、起きてたんだけどなぁ……。それを解決したんだけど! うん。問題は起こしてない。レイニーは、内心で必死に反論した。

「え? 私は問題を、起こしていませんよ? あれからお父さまが警備の改革をされたと聞いたので、気になって現状を見に行ったのですが……。所長がひどく、仕事をせずに部下の女の人と仕事中に楽しそうに話をしていたので、声を掛けると怒り……『忙しいんだ。邪魔をするな!』と言ってくる始末で。お父さまの改革の話は? と確認すると、『そんなものは知らん!』だそうです。なので、問題があると思い、所長を一時解任し、副所長を一時的に責任者にしたのですが……。すると所長が怒り出してしまい、魔法の攻撃を受けました」

 レイニーは、起こったことを、ありのままに話した。その声は、冷静かつ的確で、子供らしからぬ落ち着きを払っていた。

「……そ、そうだったのか。改革は、上手くいっておると報告を受けていたのだがな。実際は、その程度のものだったのか……」

 お父さまは、ため息を付き、ガッカリした表情となった。その声には、深い失望が込められている。

「所長を捕らえた者が、やり取りを聞いていますのでご確認下さい。それと、城門の警備隊長さんが私を守ってくれましたっ! 改革は、すぐに効果はでないと思いますが……いい方向へ向かっている気がしますよ♪」

 レイニーは、父親を安心させるように付け加えた。

 あれ? 外出の事は怒られないっぽいっ♪ 内心でガッツポーズをした。

「レイニーよ、そなたは行動力があり頭も良い、これからもよろしく頼む」

 国王の顔に、わずかな笑みが浮かんだ。

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